ねつ・が~る

ねつ・が~る

 まだまだ男性比率の高い環境で活躍する女性を応援するとともに、熱処理分野に対する社会の理解を深めることを目的として、熱処理に関わる女性から、これまでの歩みを含めて自由に自己紹介いただく企画です。

 3か月おき程度で更新予定ですので、次回もどうぞご期待ください。
(ねつ・が~るNo.005:2022年9月~10月頃掲載予定)

 なお、自薦他薦を問わず“ねつ・が~る”を随時募集しています。ご興味のある方は中部支部事務局(info★jsht-chubu.jp)までご連絡下さい。
※上記の「★」記号を「@」記号に置き換えてください。

ねつ・が~る No.004
鳥取県金属熱処理協業組合(とりねつ)
製造課 高周波窒化係 係長
提嶋 恭子 さん

入社のきっかけ

 出産育児が一段落して仕事を始めようと考えていた時に、父の友人が勤務しているとりねつが、工場職員を募集していることを知り応募した。思いがけず採用されたこともあり、自分は大学を出ていないがスポーツが好きなので、むしろ現場作業は合っているかも知れないと思い、この仕事を頑張ろうと決心した。

自分の成長と将来の目標

 入社後は、上司の指示により完成検査を中心にした補助作業が大半であった。とりねつ独自の働き方で4週間に1週間ずつローテーションで他の部署でも仕事をするが、自分は固定の補助作業を続けていた。単純な仕事だけであったが、とりねつには話しやすい上司が多かった。特に現場にいた二人の先輩の女性が、いつも自分のことを気遣ってくれるお母さんのような存在で有難かった。

 また、とりねつには、子供たちと参加できる花見やBBQの他にも、ボウリング大会、社外研修会などがあって楽しく参加できた。その他、昼休憩のソフトボールや卓球など仕事以外でも楽しむことができたのも、この会社を好きになった理由かも知れない。

 入社2年目で熱処理技能士2級に挑戦する事になり、沢山勉強した結果、無事に合格したときの喜びは大きかった。徐々に責任のある仕事を任せてもらえるようになり、仕事のやりがいも感じられるようになってきた。5年後には第2子が誕生して育児休業中に、1級技能士を受験し合格することができた。

 仕事に復帰してからは、顧客対応も任されるようになり、翌年には窒化係長に抜擢された。特級技能士は受験するか迷っていたが、女性の特級技能士はまだいないと聞き、負けず嫌いな性格もあって受験することを決め無事に合格することができた。

 とりねつは学歴や男女の格差がなく、頑張れば昇進昇格もあって今ではローテンション勤務にも就いて、頑張り甲斐のある職場であると心から思っている。 今後は特別な目標を持たずに、ポジティブな性格を活かして自然体で目の前にあることに挑戦し続けていきたいと思う。

ねつ・が~る No.003
トヨタ自動車株式会社 素形材技術部 表面改質技術室
古賀 光絵 さん
[立命館大学 理工学部 応用化学科専攻]

職歴

 大学卒業後、トヨタ自動車に入社。入社以来ずっと当部で、熱処理の担当をしています。駆動部品やエンジン部品の生産準備から、設備・工法開発、工場トラブル対応など様々な業務に取り組んできました。

進路選択・趣味

 中学生の時から数学にとても興味を持ち、特に高校では、数学の授業を受けるのを毎日とても楽しみにしていました。当時は、難解な問題を解くことがとても奥深く、自然と理系の道へ進みました。そのため、高校生の時は、実は数学の教師になることを目指していました。大きく進路を変えたきっかけが、数学以外ももっと勉強してみたいと思い、大学の専攻を化学系にしたことと、さらに大学時代に参加した企業インターンシップでした。自動車部品メーカー様の生産技術分野で3週間お世話になり、塗装をやらせていただきました。たとえ小さな部品でも、お客様に喜んでいただけるよう、チーム一丸となって、はがれにくい塗装や美しい見た目を求め技術の進化を目指す姿に魅了され、大学4年の頃には、無機化学の研究室を選び、表面処理分野のめっきの研究をしました。弊社での熱処理業務も、表面処理の一種という意味では大学の研究と近いものがあるのかもしれません。

 趣味は、料理や旅行です。コロナ禍でおうち時間も増え、お菓子作りもよくするようになりましたし、以前から旅行が好きで、独身時代は友人と遠方までドライブに行っていました。今も家族で旅行に行くこともあります。また、もともと教師になりたかったこともあり、子どもに勉強を教えることも好きです。

現在の仕事と目標

 現在は、熱処理業務の質向上・リードタイム短縮を目的に、CAEやMBDなどのDX推進業務を担当しております。例えば、CAE解析は、結果だけでなくプロセスやメカニズムが明確になることで、他へ適用できる知見を蓄積することができます。

 今は、熱処理の仕事が大きく変わる時代にきているように感じます。目標は、デジタルをもっと浸透させることで、熱処理分野に新しい風を吹かせることです。私だけでは難しいですが、素晴らしい上司や先輩、同僚に恵まれているので、サポートしていただきながら、自分自身も日々努力していきたいと感じています。

ねつ・が~る No.002
株式会社アイシン 生産技術本部 素形材生技部
舟本 三恵 さん
[立命館大学大学院 機械システム系物質理工学専攻 修士課程修了]

職歴と現在の仕事

 大学院卒業後、2003年に株式会社アイシン(旧アイシン精機株式会社)に入社。材料技術部にて金属材料(熱処理、表面処理、トライボロジー含む)の開発に7年携わり専門性を挙げてきたその時…え?!2010年 生産技術部に異動、材料(樹脂など)分析の開発?そんなスタート時、役に立ったのが金属材料開発での知識、分析や評価技術の経験と専門性でした。

進路選択、趣味、その他

 この記事を読む女性技術者の方は、男性が多い技術系の職場で、女性特有の悩みや課題を抱えて奮闘しているのではないでしょうか。

 私が入社した頃は、今より男性色が強い職場雰囲気で、結婚したら辞める女性が多くいました。最近は少しずつ理解が進み、世の中も会社も女性活躍を支援する制度が出来ていますが、まだまだ不十分だと思います。妊娠したら現場に立てない…。休んでいる間に技術は進歩し、また勉強からスタート…。育児時短で残業ができないと戦力外…。また生産技術の仕事は工場現場との関わりが強く女性というだけで軽視されたことも沢山…。いろんな壁を多く体験しました。

 私は結婚、妊娠、育児とライフスタイルが変化する度に悩み、何度も仕事を辞めようと思いました。それでも今まだ続けているのはなぜか…理由は簡単です。ただ悔しかった、見返したかったからです。少しでも必要だと言ってくれる人に応えたい、このままではダメだ…誰にもできない専門性を身に着けよう!この分析、会社で誰もできないのなら私ができるようにしよう…いないと困る技術者になろう。そうやってもがいてきました。ずっと一人だと思っていました…でも理解や支援してくれる先輩、同僚がいて、少しずつ認めて貰い、2021年 主幹研究員としてアイシングループの材料分析の開発を担えるようになりました。つらい事もありましたが、一人の技術者として少しだけ成長を実感できて、職場や私に関わって頂いた皆さんに感謝しています。

 人によってライフスタイル・変化時期・育児環境は違います。育児の課題は男性も同じかもしれません。女性を含めた全ての技術者がもっと活躍するために、私ができることは声を挙げること、笑顔でいることだと思っています。まだまだ悩みや課題が多くありますが、一流の技術者を目指し取組みたい~と思う今日この頃です。

ねつ・が~る No.001
NTN株式会社 先端技術研究所
佐藤 美有 さん
[山口大学大学院 理工学研究科 物質化学専攻 博士前期課程修了]

軸受の熱処理技術および
材料の研究開発に従事

 大学院卒業後、2013年にNTN株式会社に入社しました。入社後、半年間の現場実習を経て、現部署に配属されました。約8年間、軸受の熱処理技術と材料の研究開発に携わっています。熱処理実験、材料組織観察、強度評価、応力解析など、様々な業務を経験してきました。

進路選択や趣味など

 小学生のころから理系分野が好きで、特にものづくりに興味があったことから、大学は工学部へ進学しました。大学では化学系の研究室で、電解メッキによるナノ構造体の形成に関して研究しました。電解条件によって、形成される物質の構造が大きく変化する様子が面白く、研究が楽しくて夢中になりました。

 就職活動では、大学で学んだ分野に限らず、様々な企業の説明会に参加しました。新たな分野に挑戦してみたい気持ちがあり、機械系企業であるNTNに入社しました。正直なところ、大学で学んだ学問が、現在の業務に強く関係することは多くありません。一方、そこで学んだ実験データの取り方、論文の読み進め方、技術資料の作り方や分析機器の取り扱いに関する基本的な知識は、大いに役立っています。

 プライベートにおいて、最大の趣味は国内外問わず旅行に出かけ、新しい発見をすることです。最近はコロナ禍ということもあり、家に籠って料理をすることが趣味の一つになりました。材料の種類、温度、時間、調味料やそれらを加える順番によって大きく仕上がりが変化する料理は、熱処理にとても似ていると思います。

 私たちが作っている軸受は、使用される環境や条件に合わせて多種多様である為、それに合わせて様々な特性が要求されます。熱処理は、その条件を変化させることで材料に様々な特性を付与できるので、大きな魅力と使命感を感じながら仕事をしています。いつまでも研究の楽しさを忘れることなく、これまで先輩方が培ってきた英知や技術をこれからの新しい発見と融合させて、世界初または世界一の軸受材料や熱処理技術を開発することが私の大きな目標です。