熱処理コンテスト

熱処理コンテスト

 チーム対抗で自由な熱処理を施し、その強度を競ったら面白いと考え、2021年度より「熱処理の学び」,「失敗からのイノベーション(失敗の共有)」,「人材交流」などを目的として「中部支部・熱処理コンテスト」(以下,熱コン)を開催しております.熱コンでは,支給された試験片に,課された要求特性を満たすために,それぞれのチームが知恵と工夫を凝らして熱処理を実施し,優れた要求特性を発現した上位チームに賞を授与するものです.
 企業で熱処理に従事する技術者や研究者,官・大学の研究者や大学院生,学生など,長年熱処理に従事された方から若手の方まで幅広い年齢層の参加を期待しています.

第1回熱処理コンテスト

 合金鋼「SCM440」製の試験片に3点曲げ試験で最も耐荷重が大きくなるよう熱処理を施すという課題で、大企業から中小企業、団体、大学まで23チームが参戦。

開催概要

【開催日】2022年3月14日(月)
【場所】愛知県技術開発交流センター 交流ホールおよびZoom
【協賛】日本機械学会東海支部,日本金属学会東海支部,日本鉄鋼協会東海支部,表面技術協会東海支部,中部金属熱処理協同組合

競技内容と規定

【試験片の材質および寸法】
材質:SCM440
硬さ:90 HRBW相当
寸法:図1参照

【試験,評価方法】
 3点曲げ試験(室温大気中、支点間距離70mm、クロスヘッド速度5mm/min、上部治具の先端半径5mm)で得られる試験荷重-クロスヘッド変位曲線にて、最大の試験荷重により判定しました。図3にプレ試験結果を示します。各チーム熱処理等選定のご参考としました。

【ルールその他】
・支給した試験片のみ使用可としました。
・熱処理等は自由としました。
・試験片の厚さおよび幅の寸法変化が±0.1mmの範囲内であれば、ショットブラスト、表面硬化処理、コーティング、平面研磨も可としますが、全周面取り(C0.5)の状態を維持することとしました。ただし、試験片の反りに関しては±0.1mmの範囲内ではなく公正な試験ができるかを基準に判断しました。試験前に形状および寸法を支部事務局で計測し、合格した試験片のみ試験を実施しました。
・試験片提出時に、処理内容、処理条件、使用装置などの概要を、所定のフォーマットに記入し、提出しました。
・チーム構成や1チームの人数制限はありません。ただし、1チームに1名以上の正会員、または維持会員、学生会員が参加していることを参加条件としました。
・アイデアのみで熱処理設備が無い方々のご参加も歓迎としました。参加をご希望で、熱処理設備等でお困りの場合には、中部支部事務局までご相談としました。
・支給する試験片は組成、寸法などバラツキを有します。無作為ですのでご了承いただくこととしました。

図1 試験片の寸法
図2 3点曲げ試験(室温大気中)
図3 プレ試験結果(SCM440)【クリックで画像拡大】

ご参加いただいたチーム一覧

1.Team Torinesu(鳥取金属熱処理協同組合)
2.愛知製鋼株式会社
3.トヨタ自動車 素技・三好
4.本田技研工業 熱処理部会チーム
5.東研サーモテック製造部
6.大同大機シス(大同大学 吉田研究室)
7.アイコクアルファ株式会社 チーム1
8.アイシン・AWエンジニアリング
9.アイシン
10.もみじまんじゅう(武蔵精密工業株式会社)
11.日高工業株式会社Bチーム
12.日高工業株式会社Aチーム
13.NTテクノ株式会社
14.ネツレン レンガルズ(高周波熱錬株式会社)
15.浸窒処理技術向上グループ(東豊精機(株)、岡山県工業技術センター)
16.宮本研究室 大同大学院生部
17.アイコクアルファ株式会社 チーム2
18.石井熱錬×福岡県工業技術センター
19.チーム なめらか(NTN株式会社)

20.ジヤトコ株式会社熱処理技術
21.東京の熱処理技術技能集団(株式会社上島熱処理工業所)
22.鐵の呼吸(旭千代田工業株式会社)
23.
チームWPC(株式会社不二機販)

第1回熱処理コンテスト ギャラリー

第1回熱処理コンテスト結果

 熱処理手法別に整理した結果概要を図4に示します。

優勝  :鳥取県金属熱処理協業組合「Team Torinetsu」   最大荷重23.27 kN

準優勝:愛知製鋼株式会社                                  最大荷重21.72 kN

特別賞:トヨタ自動車素形材技術部三好工場製造技術部  最大荷重21.41 kN

優勝した「Team Torinetsu」に送られた盾(賞状,副賞とともに贈呈されました)
今回用いた試験片を模した盾となっております。

 今回、熱処理コンテストの上位3チームは、繰返し焼入れを施しており、結晶粒微細化による粒界強化が効果的であったと推察します。また、この3チームを含め多くのチームが、若手を中心にメンバー構成し、中堅、ベテランのアドバイスを受け試験片製作に取組まれたり、自ら3点曲げ試験を実施し強度向上に取組まれ、いくつかのチームがプレ試験結果を上回る最大荷重を達成されました。

 熱処理コンテスト23チームの取組から、熱処理手法と3点曲げ荷重の因果関係を示唆する非常に興味深い知見が得られたと思っています。優勝チーム参加者からは「技術面での競争はしたことがなかった。参加はいい経験になった。」とのコメントをいただいており、中部支部幹事一同も喜んでおります。熱コンへの参加ならびに情報開示にご理解いただいた全チームに深く感謝申し上げます。なお、2022年秋季講演大会にて、この結果解説も考えております。

 中部支部では2021年度より熱処理の学び、失敗からのイノベーション、人材交流などを目的として「熱コン」、「ねつ・が~る」(中部支部HPへ掲載)などのいくつかの新企画をご提案しております。

 熱コンは、課題を変えつつ今後も開催いたします。全国から多くのチームに参加いただき、熱処理の魅力を共有できることを楽しみにしております。今後ともよろしくお願いいたします。

           図4 各チームの熱処理手法とその結果(熱処理手法別に整理)【クリックで画像拡大】